Story ストーリー

艾未未(アイ・ウェイウェイ)は中国随一の著名な現代芸術家であると同時に、最も声高な自国批判者である。2008年オリンピック大会の“鳥の巣”スタジアムのクリエイターのひとりとして参画をしながらも、オリンピック大会を糾弾し、危険分子のひとりとして注目されるようになり、2008年5月の四川大地震における校舎倒壊と五千人以上の学童の死についての調査したことにより、彼と中国政府の対立は決定的となってしまう。

本作品は、アイ・ウェイウェイが四川での調査に着手し、政府の監視の目が厳しくなっていく2008年12年からスタートする。そして、2009年8月、警察による深夜急襲に発展し、アイ・ウェイウェイは暴行を受けてしまう。翌月、ミュンヘンでヨーロッパ初の大規模個展を準備していたアイ・ウェイウェイは、脳外科緊急手術を受ける。一方、ミュンヘンでの個展では、地震で亡くなった学童たちを追悼する9000個の通学カバンで作られた感動的なインスタレーション「追悼」として紹介される。

地元警察の暴力を告訴し、又、学童たちの死を調査するという、公私両面の正義追求のため、アイ・ウェイウェイは四川省の省都である成都を何度も訪れるも、私服刑事たちの尾行と監視が終始つきまとう。時を同じくして、アイ・ウェイウェイの芸術家としてのキャリアは急上昇し、ロンドンのテート・モダンのタービンホールで新作を展示するという名誉ある依頼を受ける。

アイ・ウェイウェイは政府に挑み、芸術を生み出し続ける。2010年、アイ・ウェイウェイは手仕事で作られた磁器製のヒマワリの種一億粒をテート・モダンに敷き詰めるという大規模プロジェクトを実現する。種は、彼のこれまでの取り組みの総和と、大衆伝達・大衆参加の持つ力を象徴している。それから間もなく、中国は壊滅的な力で反撃する。2011年初めの全国規模の反政府者弾圧を背景に、アイ・ウェイウェイは自身の上海スタジオが無残に取り壊され、81日間、非合法的に身柄を拘束されるという事態に見舞われる。これらの劇的な事件により、アイ・ウェイウェイは以前に増して象徴的存在となる。アイ・ウェイウェイの反骨精神がいまだかつてない課題――自身の身柄解放に伴う厳しい諸条件をどう乗り切るか――。

本作品には、初収録となるアイ・ウェイウェイの母親と弟とのインタビュー映像も含まれ、友人たちは、アイ・ウェイウェイが1980年代のニューヨークでボヘミアン的に過ごした10年と、90年代半ばの彼の北京帰還について、そして帰国後の彼の影響力についても語っている。

登場人物 家族

アイ・タン(艾丹):

アイ・タン(艾丹)

アイ・ウェイウェイの弟。小説家。
1962年、一家が国内追放されていた新疆ウイグル自治区に生まれる。

 

ルー・チン(路青):

ルー・チン(路青)

アイ・ウェイウェイの16年来の妻。
1964年に瀋陽市に生まれる。
中央美術学院付属高校から同学院のリトグラフ科に進学し、卒業。
1990年代にアジアと欧州での個展・グループ展を多数開催。2000年に「何者にも与しないFuck Off」の展示に参加。
1997年から現在進行中のパフォーマンスで、路青は一反の絹に毛筆のマークを付け続けている。

カオ・イン(高瑛):

カオ・イン(高瑛)

アイ・ウェイウェイの母(1933生)、詩人の艾青の妻。
2003年、自身と艾青の人生についての自伝を出版。

 

 

ワン・フェン(王芬):

ワン・フェン(王芬)

アイ・ウェイウェイの唯一の子供である艾老(アイ・ラオ、2009年2月生)の母親。ワン・フェンは俳優として訓練を受けたが、現在は映画編集者として働いていており、数多くのアイ・ウェイウェイのアングラドキュメンタリーに貢献した。